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特別企画
新鋭研究者スポットライトセッション

次世代の画像センシング分野を担う新進気鋭の研究者の皆様に, ご自身の研究成果や研究に対する姿勢などを約1000名の参加者の前でアピールして頂いて, 参加者,企業,技術との新たな「つながり」を生み出す場を提供すべく, 「新鋭研究者スポットライトセッション」を昨年に引き続き開催することとなりました.SSII2015 でご講演をいただくのは以下の方々です.

人を観る技術の先端的研究

講師:片岡裕雄 (産総研)

概要:

真に計算機が人の状態を把握するためには、映像中における人の理解が不可欠である。本講演においては、現在まで取り組んできた人物行動解析技術ー検出・追跡・姿勢推定・行動認識・行動予測技術ーについて述べる。特に、映像中で人物が「何をしているか」に着目した行動認識技術は監視・スポーツ映像解析・医療科学・ロボティクス・メディア検索やゲームへと応用され、さらに分野を広げようとしているコンピュータビジョンにおける重要技術である。講演者は行動認識の分野において、特徴量の改良だけでなく解析や統合方法について検討を進めている。さらに、データベースとして蓄積された時系列行動を解析することで、先の行動を予測することに成功しており、コンピュータビジョンとデータ解析の統合により「画像に映らない情報」の顕在化について述べる。

ロボットの目をつくる―RGBD画像処理による三次元世界の物体認識

講師:金崎朝子(東京大学)

概要:

本発表では著者がこれまで取り組んできたRGBD画像からの物体認識に関する研究成果を紹介する。画像からの物体認識はロボット等の自律的な知能機械システムにとって重要な要素技術であり、コンピュータビジョン分野・機械学習分野において、近年目覚ましい発展を遂げている。また、物体認識と双璧をなす研究領域として、距離センサを活用した“三次元画像処理”が一躍ブームとなっている。マイクロソフト社のKinectセンサに代表されるRGBDセンサは、カラー画像と同時に距離画像を取得することができるため、物体の外観と幾何的な形状情報とを同時に利用した高性能な物体認識が可能となる。本発表では、主に大学時代に取り組んだRGBD画像特徴量、および弱教師付き学習を活用した物体認識研究を紹介する。また、インターネット上の大規模画像データセットを用いた多クラスの物体学習をはじめとする、最近の研究状況についても言及する。

物体操作のロボットビジョン -あらためて、なんでも掴めるロボットを目指して-

講師:堂前 幸康(三菱電機)

概要:

工場など操作対象が限定される環境なら、モデルベースの物体認識によって、ロボットが様々な物体を操作する。ずいぶん昔から実現されたと言われていますが、実は、これは今でも難しい問題です。そこにはロボットの動作限界や、ロボットハンドの不器用さなど、ビジョンにとって専門外の問題も含まれます。私は現在の会社で、ビジョンの専門家として、自律型セル生産ロボットシステムの研究開発に従事し、多くのロボットシステムを構築しました。その中で、周辺問題まで踏み込んで問題を解くことにより、「なんでも掴めるロボット」に通じるいくつかのロボットビジョン手法を獲得することができました。柔軟物操作、ビンピッキング、一般形状部品の多品種供給などの事例における、距離画像・ポイントクラウドベースのロボットビジョン技術を紹介します。

人間行動センシング技術とその応用

講師:伊藤 誠也(日立製作所)

概要:

コンピュータビジョンによるセンシング技術は日々進化を遂げており、私はその中で人間行動に着目したセンシング技術を中心に研究しています。これまで、セキュリティ分野やマーケティング分野へコンピュータビジョンの製品に関連する研究開発に取り組みました。その中で、単にセンシングするだけでなく、その結果をどう価値のある情報へと組み立てることを重視しています。本講演では、これまで取り組んできた研究開発について、監視セキュリティ向けの開発、マーケティング向けの人間行動センシングやアナリティクスの事例を通じて、企業研究の立場から、研究開発から製品化へのプロセス、社外との連携など、これまでの振り返りと今後の展望を含めてご紹介させていただきます。